「いいじゃん。俺が葵と早く会いたかっただけ」


「ッ…。なんで恥ずかしいセリフをさらっと言うのよ!…ん」



文句を言っていたらいきなり伊織の顔がドアップで映った。


その次には唇が何か温かいモノに包まれていて。



「い…おり…!」


「黙って」



合間に伊織の名前を呼んで胸をたたいてみるものの、効果なし。


逆に手首を掴まれて壁に押しつけられる。


「葵、可愛い」


ぎゅっと抱きしめられて、伊織が耳元で囁く。

甘くて長いキスが終わった後は全身の力が抜けて、自分だけじゃ立っていられなかった。


頭がぼーっとしていて伊織に反論する気力なんか無い。


「そんな顔されると止まらないんですけど?」