小さくか…伊織の名前を呼んだら短い返
事の後に抱きしめてきた。



ものすごく恥ずかしいんですけど。




か…伊織はなにも喋らないし。



ホント調子狂う。私はこんなんじゃないの
に。


この距離がそこまでいやじゃないと思って
しまうような。




「帰るか」



少したってから伊織が顔を上げてそう言っ
た。



手は握られたまま階下に降りた。



「あら!葵ちゃんもう帰っちゃうの?」


「はい。お邪魔しました」