「なぁ。放して欲しいんだろ?早くしろよ」


「できるわけないでしょ…!」




現実逃避のために現状を把握してみるけ
どまったく意味はなくて。



枢伊織の顔が既に間近に迫っている。


こいつも顔はいいわけで。

それなのにこんな近くで見つめられては
いくら嫌いなヤツでも恥ずかしい。




「ふーん。出来ないんだ?じゃあ、俺から
するぞ?」



唇に温かいものが一瞬触れて。

思考が真っ白になった。




枢伊織が宣言通りキスしてきたのだと理
解したのは数秒後。