「ただいま~!なになにっ?ふたりとも楽しそうだったけど」
畑辺が帰ってきた。
楽しそうなのはお義母さんだけだけどね...。
「お疲れさま!ナイショよ。田邊くんとお母さんだけのっ♪」
「え~!…あ、はい、いつもの」
「ありがとう。ご苦労様でしたー!」
さぁてと。
柔らかいソファーから立ち上がる。
「そろそろ俺は帰ります。」
「あら、どうして?泊まっていきなさいよー?」
「いえ、今日は失礼します。あとは親子水入らずで!積もる話しもあるでしょうし」
「じゃあ、尚更泊まっていってちょうだい。あなたはもう、"私の息子"同然よ♪」
息子同然、か...
父さん、俺母さんが増えたよ。
結局泊めてもらった。
夕食はこんな豪邸なんだからシェフがいるんだろうと思いきや、お義母さんが作った。
味は絶品でどれも美味かった。
畑辺の作る味ととても似ていた。
畑辺家の味はしっかりと受け継がれている。
「もう帰っちゃうのかぁ...」
朝早くに畑辺家を出ることした。
寂しそうな顔をするお義母さん。
大切な娘を奪って申し訳ないという罪悪感が沸く。
「もーぉ、そんな顔しないで?またすぐ帰ってくるから!」
確かにまたすぐ戻ってくる。
…"幸せな報告"とともに。