「でさ、やっぱりコンビニ弁当じゃ栄養のバランスが悪いからさ、俺の指にささくれがいっぱいできて。ビタミン不足で」
血が出て痛がる息子を見て親父は困った顔をしていた。
料理なんてしたことないし、ましてや息子の好きな食べ物が分からなかったらしかった。
「…それで、作ってくれたんだよ」
そう、
「ピーマンとソーセージの塩コショウ炒め」
これを。
「もちろん、味なんてのは塩コショウをかけ過ぎて塩辛くてさ。ピーマンもソーセージも不格好に切れてるんだ。しかも俺はその頃、ピーマンが大嫌いだったんだ」
…本当にめちゃくちゃだった。
ピーマンは種を取らずに、適当にざく切りされてて、ソーセージだってすっごい乱切りで。