「…なぁ、畑辺」

「…………。」


返事は返ってこない。

…当たり前か。
つまらない意地張って畑辺のこと無視したんだからな。


「…ごめん、畑辺」


そっと畑辺を背中の方から抱きしめる。

髪からふんわりと俺と同じシャンプーの香りがする。

そして気づいた。


「…畑辺、泣いてる?」

「…ふっ...うぅっ...」


顔を覗き込むと、可愛い顔をくしゃくしゃにして、声を漏らさずに大粒の涙を溢していた。


「ごめん。願い事な、



"今年からは畑辺が幸せだと思える年にするので、応援よろしくお願いします"



って神様に伝えたんだよ。」


真剣に言ったのに、


「なにそれーっ?それお願い事じゃないよー!」


笑い泣きしながら返された。

えー、何気ショックなんですけどー。


「でも、ありがと!」


だけどそんな思いも、彼女の満点な笑顔を見れば消しとんでしまうんだ。


腕の中のぬくもりがじんわりと溶け込んでいくのを感じた。