「会長を一人で帰らせたくない」

「あたしは、一緒に帰る人がいるのよ」

嘘。

そんな人いないわ。

「会長…それ本当?」

「本当よ」

強気で立ち向かうと太田君はやっと折れて、帰る準備を始めた。

「じゃあね。会長…」

「さようなら。明日から、ここに来ないで。これは命令よ」

そう告げて、あたしは応接室を出ていった。

太田君の姿を見ずに。