仕事が終わり、富岡に言われて太田君の待つ応接室の前に来た。

なのに…。

「好きな人の為に髪を切ったんだもん」

あたしには確かにそう聞こえた。

どういうこと?

どうしてこんなに…胸が苦しいの?

太田君の言葉が脳内をリピートする。

好きな人…いたのね。

キスだって、ただしたかったから…しただけなんだわ。

悔しくて、涙が出てくる。

傷付いて欲しくないって言ってくれた時から分かってたじゃない…。

あたしは、太田君の初めての女友達だって。