「ふふんふんふ〜ん♪」
朝早く起きて1番に学校へ来ると、必ず屋上へ行く。
それが数少ない私の楽しみ。
鼻歌を歌いながら、
段差の外に出した足をぶらぶらと揺らす。
その度に冷たい風が当たり気持ちいい。
はっと思い付いて…カーディガンのポケットから昨日買った、キャンディーを出す。
ビターオレンジ味。
そう書かれたパッケージ。
1つ口に入れてまた鼻歌を歌い出す。
味は正直言ってそこまで美味しくない。
苦くて…酸っぱい。
そんな味。
「自殺願望者?…って…多野じゃん。」
そんな時、聞こえた少し低い声。
自殺願望者か…。
だけど一度はそう思われても仕方ないかな。
だって…
屋上の端にある段差に座っているんだもん。
後ろから押されたら一瞬で落ちてしまうと思う。
だけど…だからこそ私はこの場所が好きだ。
自分の不注意で死んでしまう。
そんな時が自然と訪れるのを待っているから。
別に死にたい訳じゃない。
でも、死んでもいい。
ただそれだけの違い。
「本宮君。コレあげるよ。」
溢れ出そうになった感情を無理やり押し込んで代わりに口から出た言葉。
ん?っと差し出された手にコロンッとキャンディーを落とす。
不思議そうに私を見たあとそのキャンディーを口に入れて一言。
「うまいな。」
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