立っている足の力が抜け…

ふらついた所を、流星が引き寄せ支えてくれた。



合わせた唇の隙間から、熱い吐息と共に、私の名を呼ぶ流星の声が漏れる。



一つ二つとパジャマのボタンが外され、スルリと体を滑り落ちた。



ゆっくりと丁寧に脱がされて…

今私が身につけているのは、紫水晶の指輪を通したシルバーチェーンのネックレスだけ。



辛うじて立っている私を支えながら、流星の片手が肌の上を滑って行く。




「紫……

過去よりも…未来よりも…今を大切に生きたいんだ……

今の君を感じたい……より深く…もっと濃密に……

それでいいよね…?君なら許してくれるよね…?」





私の首筋に…肩に…胸に…唇を移動させながら質問されても、

頭の中が甘く痺れているから、何も考えられないし返事も出来ない。



なにも考えられないのに、

『今を大切に…』

流星のその声だけが耳に焼き付いて、離れない。




今を大切に……

今を大切に……



頭の中にリフレインする、呪文の様に響くその言葉。

その意味を掴み損ねたまま、徐々に強くなる甘美な刺激に溺れてしまう。




「流…星…もう私…立っていられない……」




流星に体重を預けていても腰が砕けてしまいそうで、これ以上姿勢を維持出来そうにない。




「じゃあ…続きはベットで…」




流星は私を抱え上げ、ベットの上にそっと寝かせてくれた。



暗闇に目が慣れて、私に覆いかぶさる流星の端正な顔が良く見える。



呼吸を乱し涙目になる私を、色香を放つ茶色の瞳が静かな喜びを湛えて見下ろしていた。



同じリズムを刻みながら、快楽の波間を漂い続ける。



気持ち…いい……

体も…心も……

私に関する何もかもが、幸せな時間を喜んで受け入れている……