そもそも、私達3人の関係をこじらせた原因は私にある。
大樹の告白を受け入れた事…
いや、それ以前に、流星に正体を隠し続けていた事が間違いだった。
謝ったり謝られたり…
どこまで遡って後悔すればいいのか、振り返っていたら切りがない。
後悔したって何も良いことがないよ。
これからに目を向ける方が、余程意義があると思う。
「ダメ。謝ったら私も謝るからね」
「だよね…君ならそう言うと思ってた。
だけど、君にだけ大変な思いをさせるのが、心苦しく…
いや、それは詭弁だよな。
謝る事で、自分の気持ちを軽くしたかっただけかもな……
ごめん、もう言わない…
あ〜今の“ごめん”はこの発言に対しての謝罪だから」
「ふふっ 分かってる。
ねぇ流星、私は障害を負った事を後悔してないよ。
不自由さは感じるし、予想を超えて大変だけど、
それ以上に大切な物を手に入れたから……
流星と寄り添えて、大樹と笑い合える。
これが何より欲しかったの。
私は後悔なんてしない。
だから流星も前を向いて?お願い」
「……… はぁ…
紫は強いな…呆れる程強い……
まいったな…これ以上ない位に惚れてるつもりだったのに、益々君に溺れていく」
灰色の雲の切れ間から、柔らかい日差しが差し込み、
窓際の私のベットを、優しい光りで包み込んだ。
その光りに照らされ、流星の茶色の瞳も髪の毛も、キラキラ輝いて見えた。
そういえば流星は、いつの間にか髪を染めるのを止めていて、今は元々の髪色に戻っている。
私の好きな綺麗な焦げ茶色の髪の毛は、あの夏の少年の面影をはっきりと感じさせる。
これ以上ない位に惚れているのは私の方だよ。
5年前からずっとあなたが好き。
強くありたいとは思うけど、元から心が強い訳じゃない。
あなたがこうして側に居てくれるから、私は強くいられるんだよ。