『明日、一泊で高原に行かない?』



 それが龍さんが私に送ってくれたメールの内容。

 私は実に久しぶりに、遠足前夜の気分を味わった。

 ワクワクして頭が興奮して眠れないような、そんな感じ。

 姉にからかわれないようにと自室に避難して、行きますとの返信メールをしてからずっとそんな感じだったのだ。

 昨日の土曜日に会ったときにはそんなこと全然言ってなかったのに、一体どうしたのだろう。だけど明日は月曜日で彼はお休み、きっと火曜日の昼過ぎ、仕込み開始の時間までに戻るってことなのだろう。

 龍さんからは、良かった、という言葉と朝9時に迎えにいくという内容のメールが来た。

 私はそこでやっとハッとして、明日明後日出来ない分の仕事をしようと机に向かった。だけど中々集中出来なかった。

 高原?ちょっとでも涼しいとこにってことかな?龍さんは何となく海の方が好きそうだけど・・・山が好きなのかな。そんなことを考えてしまって、中々作業が進まない。

「これじゃ、ダメよ、しっかりしなさいってば!」

 そう自分に気合を入れて手を必死に動かしだしたのは、夜の10時過ぎてからだった。

 私にしては新レコード更新の勢いでだだーっと事務作業を終わらせる。明日の発送の分、それから更新分、メールを出して、口座を確認するのは朝一番、メモに書いてテーブルに貼り付けた。

 起きたらやらなくちゃならないことはこれでいい。明日着る服は・・・・。

 私はガックリと肩を落とす。・・・ああ、まだその問題があったー!