ゴミを見つけると屈んで拾い、袋に入れる。

 缶。

 パンが入ってた袋。

 何かの布の切れ端。

 ペットボトルとお菓子の袋。

 缶。

 燃やされた後の木の棒。

 ペットボトル。

 クリちゃん。

 ―――――――――え?

 私の足元に、柴犬の子犬のクリちゃんがいた。手を止めて反射的に見上げると、そこには飼い主の徳井さん。いつも通りのあっさりとしたシンプルな格好で、眼鏡をかけて立っていた。

「阿達さん、久しぶりですね」

「徳井さん」

 あ、本当に久しぶりだわ。私はそう思って、頭を下げる。そのついでにしゃがみ込んでクリちゃんの頭をなでた。

 手のひらにふんわりとした毛の感触。温かいクリちゃんは嬉しそうに舌を出している。