「平野、大丈夫か?」

≪ありがと、大丈夫だよ。

マキ達に話聞いてもらったし、泣いたらスッキリしたよ≫



俺じゃダメ?
俺じゃ美桜の力にはなれない?

心配しているフリだからバレてるのかな・・・


俺は美桜の女友達にさえ嫉妬している。





それ以来、その話には触れないようにしていた。


俺と美桜は相変わらず、何も変わらないまま。



「あれ、平野まだいたの?」

委員会で遅くなった俺は鞄を取りに、教室に戻ると窓の外を眺めている美桜に出会った。


「藤川くんは?
あ、委員会?」

「そう」



外から聞こえる部活の声、
チャイムの音、
美桜の声、
すべてが優しく聞こえた。