爽やかな風が桜の花びらをそっと揺らす。

ヒラヒラと舞う一つの花びらをじっと見ていた。



色んな人達が行き交う中で、あたしと同じように足を止め桜を見ている人がいた。


その人の元へ花びらが落ちた。

今、あたしとその人は同じ時間を桜と一緒に生きているんだ。




ふいにその人が優しく微笑んで、あたしを見たような気がした。


トクンって今まで聞いたことのない心臓の音が聞こえた。




「おーい!亮祐、行くぞ」


その声と共に、彼は行ってしまった。