まだ聞こえる心臓の音も手のぬくもりも嘘じゃない。


あたしは奇跡を起こしたんだ。

だからもう何もコワくない。


あたしは、あたしの生きたいように生きるんだ。





新しい人生を歩み始めたあたしに、近所の花屋の店員さんが「おめでとう」と言って薔薇をくれた。


真っ赤な薔薇があたしの命の色のように思えた。


部室に飾ろうと思い、大学までの道のりを歩いていた。



見慣れた景色が新鮮で、鼻歌でも歌いたい気分♪



大学の手前であたしは足を止めた。


桜がキレイに、誇らしげに咲いていた。

この辺で一番大きな桜の木、もう何百年も生きている。