「亮ちゃん?」

「ん?」


新聞を眺めている僕に百合子は聞いた。



「亮ちゃんが今、考えていること当ててあげようか?」

「百合子に分かるのかい?」

「・・・もしあたしと子供、どちらか選らばないといけないなら、亮ちゃんはあたしを選ぶ・・・」


新聞を目で追っていた僕の視線が止まった。

何も言い返せない。




「もうあたし何も言わないよ?

あたしがもし亮ちゃんの立場だったらそう思うだろうし・・・」


百合子の目を見れない・・

百合子はそう言ったけれど、『子供を選んでね』ってそんな響きがあった。


もし百合子を選んでも、百合子は僕を責めない。

でも一生、自分を責めて生きるだろう。

百合子はそういう女だ。