「彼女が佑斗を好きなうちに戻ってこい。…俺は、月夜を消すことはしたくない。」
それだけだ。
三月さんはそう言い残すと、消えていった。
一気に静まりかえった部屋を俺は見渡した。
「…くっそ!!」
何なんだよ!!!
俺は、恋愛が大嫌いだ。
女はメンドクサい奴ばかりだ。
死神をやってて、ろくな女に会ってない。
遊びに付き合ってくれるような、汚い女ばかりだった。
そんな女と遊び呆けていた俺が、夢希に惚れる?
冗談じゃない。
ただ、純粋な夢希の心を汚したいだけだ。
…そう。
ただそれだけ。
そう思いたいのに、俺の胸の奥になんと名付けていいのかわからない、モヤモヤが広がるのを感じていた────