『…彼女に惚れたか月夜。』


突然聞き慣れた声が聞こえ、はっとベッドから起きあがった。


声のする方を見つめると、そこには三月さんが立っていた。


「三月さん…!」


「少しぶりだな月夜。
…1週間しか経っていないというのにすっかり彼女に毒されてしまったようだな。」


…毒された…?
惚れた…?

三月さんは一体なにが言いたいんだ…?


「俺は、別にどうやって夢希を落とそうか考えてただけでアイツに惚れたわけじゃ……」


「じゃあなぜ惚れさせようとする。
彼女と佑斗と言う男が両思いになれば、何も変わらず彼女は死ぬ。」


そう。
夢希は佑斗と両思いになったら……


















“死ぬ”







でも、最初から目的は夢希を落とすためで。
俺は佑斗と夢希を両思いにさせる気はさらさらなかった。


「最初の月夜の気持ちと、今の月夜の気持ち、全く同じとは思えない。
彼女…夢希に情が移っているのではないのか?」



「……」


なにも言えなかった。
純粋な彼女を見ていると、笑顔になれたのも、また事実だから。


すると三月さんは、はぁと深い溜息をつき、俺を真っ直ぐ見据えた。