「み…てたの?」
「見てたって言うか、偶然通りかかって、女子がギャーギャー騒いでたから気になって。」
私は佑斗の一言で一気に顔中の血の気が引いていくのを感じた。
残暑が残っているはずなのに、体中に悪寒が走った。
あの場を見られていたなんて、誤解されてるに違いない。
「あの人ね、夢希のお兄ちゃんだって!」
「お兄さん?」
「そそ!
かっこいいよね~!
あんなお兄ちゃんになら、からかわれても嬉しいかも。」
固まる私の変わりに絵里がそう答えてくれた。
…もしもこの場に絵里がいなかったら、どう答えていたのだろう。
そう思うと、恐怖でたまらなかった。