「ね、ねぇ、絵里。
門に人だかりが出来てるから裏門通って帰らない?」


「え、なんでよ!!
イケメンの男見てこうよ!!!」


……あああああ。
そうだった。
絵里はかなりのメンクイだったんだ。


「……でもっ!」


私がどうにか絵里を説得する方法を考えていると、ついに月夜と目があってしまった。


「夢希!」


月夜は私に向かって大きく手を振った。
すると周りの女子の視線が私に向いた。


『え、もしかしてこの子がこのイケメンの彼女なの?』


という声がいろんなとこから聞こえてきた。すごい視線。
女って怖……。


「……月夜。」


私は諦め、月夜の元へ歩き出した。


「約束通り迎えに来たぜ。」


「…来なくていいって言ったじゃん!!」


私は周りのことなど気にせず声を大にして言い放った。


周りから聞けば、完全恋人同士の痴話喧嘩だろう。
でも、私はそんなこと気にも止めなかった。


私の横にいた絵里は最初はポカンとしてたが、状況を把握するとすぐにニヤニヤし出した。