「佑斗…離して…!」
「離す訳ないだろ。」
「だってこの子が悪…っ」
「悪いのはお前らだろ!」
さっき私が言ったことを、佑斗はそのまま言った。
誰だって悪いのは佑斗ファンだってわかる。
でも誰も助けてくれなかったのは、集団で食いつかれたら誰も適わないからだ。
「岩本の言ったとおり、俺は誰のものでもない。
好きな人くらい自分の意志で決めるし、少なくともお前らみたいに汚い人間は好きにはならない。」
佑斗の言葉に、みんな泣きながら絶望していた。
曲がったことが大嫌いな佑斗に、こんな所を見られたのだから、そりゃ当たり前だと思う。
「ごめん…なさい…っ」
彼女たちはそう言いながら、泣き崩れた。
そんな様子を見た佑斗は、彼女たちを無視する様に私に向き直った。
「岩本、大丈夫か?」
「うん。ありがとう、佑斗。」
「今度、俺の大事な友達を傷つけてみろ。お前ら全員、先生に言いつけて、停学にしてやるし、一切口聞かないから。」
佑斗はそう、ファンの女子たちに言い放った。
これで大丈夫。と言うように私の顔を見てにこっと微笑んだ。
きっと、同じクラスの佑斗ファンが他の学年のファンたちに伝えるだろうからだ。
私も正直怖かった訳じゃない。
だからこそ、佑斗が助けてくれて、よかった。