全ては、夢希のせい。
真っ直ぐなアイツと過ごすことで、俺の心を綺麗にしていった。
「…バカはどっちだよ。」
俺は、夢希からもらったネックレスを眺めながら、そう呟いた。
「俺は、お前のこと…好きだぜ。
お前のせいで、全て狂っちまったじゃねぇか。」
「…ただな、俺は自分の仕事をこなすまで。…ごめんな、佑斗と違って、最低な奴なんだ俺は。」
好きって感情を抱いたこと自体、俺には初めてのことだった。
俺の気持ちなんて、夢希は何も聞かなかった。
どんだけ無欲な女なんだよ。
6日だけでも、両思いでいられたかも知れないのに。
「やはり、夢希に惚れていたのだな、月夜。」
俺が夢希のことを考えていると、俺の目の前に、三月さんが現れた。
「三月さん…」
「あれだけ気をつけろ、と言ったではないか。」
確かに三月さんはいつも俺に気をつけろと言っていた。
このことを指すことは何となく俺もわかっていた。
「ああ。
俺は、夢希のこと好きだぜ。
…ただ、俺は運命を変えるつもりはない。俺が、夢希を連れて逝く。」
「本当に出来るのか?
俺が、彼女を連れて逝くことにした方が…」
「それはダメだ…!」
俺はとっさにそう遮った。
それだけは…
「絶対に運命は変えません。
…だから、彼女は俺が連れて逝きます。」
夢希の最期は、俺が見届ける。
それだけが俺の願い──。