「月夜が私のこと好きだったとしても、私たちは一緒になることはないし、月夜が私のこと好きじゃなかったら、それまでだよ?…ただの遊び道具としか見てなかった…ってことになる。」
少しトゲのある言い方だったかも知れない。
でも今はこう言うしかなかった。
「…両思いになることは悪いことじゃない。…ただ、“運命”を変えなければそれでいい。」
ただ、両思いになった後にその人を死なせたくないと思ったら最後。と月夜はそう言った。
「…でも、月夜は私のこと、好きじゃないんだよね。」
「ただね、私は…」
「月夜のことが好き。
悔しいけれど、あなたに惚れた。」
こんな奴に惚れるなんて、思ってもみなかった。
だから悔しいよ。
悔しいけど、大好きなんだ。
そして初めて、自分の口から思いを伝えた人。
「やっぱりそうなんだな。」
「…うん。」
死ぬまで会えないと思ってたから、思いを伝えることはないと思ってた。
でもこうして、奇跡が起きて、思いを伝えることが出来た。
それだけで、私はもう満足だった。
「私ね、月夜に出会えてよかったよ。
この3週間、すごく濃かったし、楽しかった。」
「…思いを伝えられてよかった。
もう、この世に未練はない。」
私は月夜にニコッと微笑みかけた。
「…月夜に出会えてよかった。
ありがとう…。」