まじまじと見つめるオレの視線に気付いたのか、彼女がフッとこちらを見る。


目が合ったとたん、心臓が大きく跳び跳ねる。



――ゴクリ。


これって……


これってもしかして……


『チャンス』


だったりする……?





――いつの間にか到着していた電車のドアが開く。


彼女は乗り込もうと足を動かした。


その、瞬間――…。


ぐいっ!


「あのっ……ちょっといいですか?」


「えっ!?」


「すぐ済むから」




そう言って。


気が付いたらもう、
彼女の腕を掴んで走り出していた。


今にも溢れだしそうな気持ちを抱えて――…。