ホームでは電車が着くことを知らせるアナウンスが流れている。


ガタンゴトン……
ガタンゴトン……


音が次第に大きくなってくる。

目の右端に、チラリと電車がうつる。


オレは何気無く、その方向へと目を向けた。



それは本当に、自然な動きだったと思う。


でも、次の瞬間。


オレの目が捉えたのは、電車だけではなかった。



見覚えのある制服。
見覚えのある鞄。


肩にかかるくらいの黒いストレートの髪も、
小動物のような瞳も、もうオレの中にインプットされている。


それは……紛れもなく、彼女だった。




「!!?」