彼女とオレの口から出た叫び声。
それに驚く暇もなく、ドドドドドド……!!という大きな音が聞こえ、ドア付近にいたオレの体は車内の中心へと倒れ込んだ。
でも全然痛くないのは、後ろの人たちが下敷きになってくれたから……。
つまり、何が起きたかと言うと……。
1、彼女が焦りながら走ってくる。
2、ドアが閉まる直前に、駆け込み乗車。
3、……と思ったら、ホームと電車の微妙な段差に躓く。
4、勢い良くオレの胸へ飛び込んでくる。
5、そのまま付近にいた乗客がドミノ倒し状態に……。
……ってわけ。
――そんな大パニックの車内に気付く様子もなく、電車は走り出す。
その間、なんとか元の体勢を取り戻したものの、オレの胸は高鳴り続けていた。
「ごめんなさいっ!!」
顔を真っ赤にしながら、被害にあった乗客に謝る彼女との……
距離の、近さに――…。