それは待ち伏せ生活を始めてから3週間ほど経った時のこと。
リリリリリー♪
――これを逃したら遅刻という電車の発車を知らせるベルの音に、オレはため息を吐いて立ち上がる。
……今日もダメか。
やっぱり駅で待ち伏せしてもムダなのかな?
そんなキモチでゆっくりと電車に乗り込む。
――プシューッ!!
同時に聞こえたドアが閉まる時の音。
それが、膨らんだ風船から空気が抜けた時の音に似ていて。
……もう、タイムリミットなのかも知れない。
そんな弱気な心が出てきそうな、そんな時だった。
「すいませーんっ!
のっのっ乗りまーすっっ!!」