おばけ役はこの子だけか、なんて思っていると
白いワンピースを着た髪の長いその子は

突如、目を見開き、起き上がった。

隣にいる周は、
さっきのひょうひょうとした態度から一転

ビクっと肩を震わせていた。

そういやこいつ、夜は一人じゃ眠れないんだっけ。

とか考えている冷静な俺を後回しにし、
人形役のその子は周の方へゆっくり近づいていた。

彼女の手が、あと少しで周の頬に触れようとした

その瞬間!

周は後退りし、そのまま来た方向へ猛ダッシュして行った。

ポカーンとしたのは俺だけのようで、
彼女は俺めがけて足を進める。