「行って来ます!」
「行ってらっしゃいませ奥様。」
…まだ奥様って呼ばれるの
慣れません…。
それはともかく、今日は
櫻華学園二日目です。
昨日はあんなことがあったし
若干…いや、かなり教室に入るのが
気まずい私です…。
颯君にも謝らないと。
そのためにですね、今日は
カップケーキを焼いてきました!
お詫びの品ということで…。
しばらく車に揺られ、
学校に着きました。
はあぁ…
教室に入るの憂鬱……。
皆に冷たい視線送られたら私……。泣
ああああ泣
怖い怖い怖い怖いぃ…。
そう思いながらも
気づいたら教室の前に着いていました。
…落ち着くのよ私。
吸って吐いて吸って吐いてー…
よし!!
ガラッ
ガヤガヤガヤガヤ…
よ、よかったああ!
皆おしゃべりしてくれていました。
よかったです。
変に注目されなくてよかった…。
…というか、皆さん。
仲良くなるの早くないですか?
まだ二日目なのにこのガヤガヤ度…。
私、馴染めるでしょうか。
ガヤガヤしている皆をよそに
とりあえず席に座っている私です。
数分すると、ガラッとドアが
開きました。
入ってきたのは颯君です。
「あ、おはよう!恋ちゃん!」
お、私に気づいてくれました。
「おはよう、颯君!」
「僕の席ね、恋ちゃんの近くなんだ!」
ほら、ここ!
と言って私の席の右後ろの席を指す
颯君。
「え!そうなの??
…昨日気づかなかった…。汗」
そう、昨日は顔をなかなか上げれなかったから…。
「ふふっ。
恋ちゃん昨日緊張してたっぽいしね。」
「…うん。
そうなんだよね、、、。」
「そんなとこが可愛いんだよっ。」
ニカっと笑いながら
そんなことをさらっと言う颯君。
「…可愛くない!!泣」
「またそういう〜。
あ、そんなことよりさ、」
「ん?」
少し悪戯に笑った颯君の顔が
ふいに近づいてきて…
「…恋ちゃんはもう
僕の、ものだよね?」
耳元でそう囁かれ
身体が固まってしまいました。
「…あ、いや、あの、…、」
キーンコーン…
ひ、否定しないといけないのに
チャイムがああ…!
「ふふっ。
ま、この続きは後で〜。」
そういって席についた颯君。
「…ちゃんと言わないと…。」
私は昨日の夜、
薫様の過去のお話や本心を聞いて
私は一生を薫様と共にしたい…
そう思いました。
…きっと私なら薫様の笑顔を
増やせる…。
薫様の心を癒せる…。
だから。
まだ私は薫様のことを
恋愛対象で好きなのかはわかりません。
薫様だって、私のことを
恋愛対象として見てくれてるか
と言われたらきっとそうではないと思います。
だから、今は…いや、
これからもずっと薫様の隣にいたい。
…そう颯君にはっきり
伝えないと。
ガラッ
「おはよう、皆。
さ、ST始めますよ。」
薫様…もとい
薫先生のその合図で
波乱の学園生活が幕を開けました。