「うわ…かっこいい…」


歩けば歩くほど
斗亜に向けられる言葉が聞こえる。

嫌だった。

逃げ出したかった。

この人は私のものなんだぞ。

って言いたかった。
言う資格なんてなかった。






泣いてしまいそうだったから
唇を噛み締めてぐっとこらえ
教室へ向かった。



向かう途中、
私の異変に気付いた斗亜が


「大丈夫か?」

と話しかけてきた。

嬉しかった。

私は

「何が?大丈夫だよ!」

と平然を装った。

「無理すんなよ」


その優しさが苦しくて、辛くて。
消えてしまいたかった。