「俺、中一からずっとだったからなあ」


「そ、そんなに?」


知らなかった。
順二がそんな片思いしてくれてただなんて。


「高校卒業して、会わなくなってやっと吹っ切れたんだからな」


「…………」


「泉、会ってもねえのによく思い続けられるよ」


「……バカだよね、自分でも思うよ」


自嘲しながら、髪の毛をくしゃっとする。
順二はそれに首を振る。


「…いや、いいんじゃねえ?」


「え?」


「なんか、泉っぽいよ」


「っっ!」


「ここまで来たら絶対付き合えよ?」


「う、ん」


順二の、バカ。


涙が溢れそうじゃないか。


絶対泣かない。
今彼女来ちゃったら最悪じゃないか。



だから、我慢する。



そう、思ってた所に。



「いずちゃん…?」



私の待ち合わせ相手の聖が先に姿を見せた。
聖は順二を見て訝しげな顔をしている。



私は無理矢理笑顔を作ると、立ち上がって


「こ、高校の同級生だったの!」

順二のことを指して言った。