その、聖の言葉に胸がきゅうーっと苦しくなる。


そんなこと、言うなよ。
私が伊織を好きなのは変わらないじゃない。


「……聖に私は勿体ないもんっ」


そうやって、憎まれ口を叩く私にまた笑うと

「間違いないよ、俺にはいずちゃんは勿体ない」

私の言葉を否定することはなかった。


「…レンタル彼氏をしてる時の伊織は、何もかもを信用してなかったよ」


急に伊織の話題が出て、肩に力が入る。

そうか。
聖は伊織のレンタル彼氏時代を知る、数少ない友人の一人なんだ。


「…金にも興味ないし。
Sランクの皆が、ここぞとばかりに見た目を煌びやかにさせて、バカ高い装飾品がステータスになってたのに。
俺だって、そうだったよ。

復讐する為とは別に有り余るほどの金を持っていたから。

女も買ったよ。たくさん悪いこともした。
でも、伊織を見てそんなことがバカらしく思えたんだ」



初めて知る、伊織の過去。

孤独な、レンタル彼氏時代の伊織。




「伊織は見た目を着飾らなくたってカッコよかった」