涙を流して笑う聖の顔が、四人で仲良く遊んでた時の笑顔で。

紛れもない聖の笑顔で。


そんな顔をまた見せてくれたのが嬉しくて、私も聖と一緒に泣きながら笑った。


「聖、私ね」


「うん」

聖とゆっくり、並んで歩く。


「聖の心の中に踏み込んだらいけないんだって思ってた」


「……」

聖は小さく、頷く。


「私ってさ、本当普通でさ。
平凡だし、なんにもなく、ぬくぬくと育ってさ。
本当、あったかいところにずっといたの。

だから、聖や伊織みたいな生き方が正直わからなかったんだ。

………いや、分かれなかったんだよね」


「…………」


「陽のあたるトコロにずっといたから、あたらないトコロなんて考えてもみなくってさ」


黙ったまま、私の話を聞く聖に続ける。


「…知ってる?
私が最初、伊織に話し掛けたのは興味本位」


「…………」

目をくりっとさせて、聖は私を見る。



出会いは。


普遍的ではなかった。


なかったからこそ、私達は好きになれたんだよね?