入院中、私は毎日毎日お見舞いに行った。


聖は、何も話してくれなかった。
寧ろ、私の顔を見ようともしなかった。

だけど、それでもよかった。



もう、後悔なんてしたくないって。
伊織の時あれほど誓ったのに、また繰り返していたから。


退院の日。
もちろん、私は聖を迎えに来ていた。


「聖っ、退院おめでとう」


「………」

にこりとも、反応もせず、私の前をすり抜ける聖。

「ちょっと、ちょっと待って!」


「……………」

私は慌てて聖の後ろをついていく。


「聞いて聞いて、知ってる?あのアイドルと俳優がさ」


「…………うざい」


「え?」


「…………何なの」


私を睨み付ける聖は、復讐を告白した時の聖とは非にならないぐらい怖い。


「………何もないよ?」


「じゃあ、付きまとわないで」


「だって、私と聖友達じゃんっ」


「……………友達?」


私の言葉にぴくりと、眉を揺らすと聖は鼻で笑った。



「……泉は、いつまでもお気楽だって言ったじゃん。
俺は友達だなんて思ったことない。
俺には友達なんていない」