「………ま、さか」



聖の元へと、ゆっくりと近付く。
立ち眩みしそうなほど、前が歪む。


聖の手首にぐるぐるに巻き付いた包帯が、呼吸を荒くさせる。


「…………ひ、聖っ!!」

私は聖にしがみついた。

何度も何度も何度も揺さ振る。



「聖っ聖っ!」



涙で視界が歪む。



「………いずちんっ………」


泣きながら尚子が私を呼ぶ。



「………聖、無事、なの」


「…………え?」


「……発見が後少し遅れたら危なかったって」


「……………ぶ、じ」




よく、見るとちゃんと息をしている。
眠っているだけみたいだ。



「………よ、よかったあああ」



へなへなと私は聖にしがみつきながら、そこにへたりこんだ。



あー尚子、紛らわしいんだよ。
もう。
てか、学も何か言えっつうの。


心の中で悪態をつきながら。

聖が生きていることに安堵の息をもらした。




出血多量で、生死を彷徨った聖は一週間もしないで退院をした。