ワンコールで尚子は出た。


「もしもし、尚子…」


「いずちんっ!」

切羽詰まった声に、本当に何かが起こったんだと思った。


「……落ち着いて聞いて。聖がっ、聖がね」


「……聖……?」


「自殺未遂で病院にいるのっっ!!!」


「えっ?」


「早く、来てあげて!!」


「……………」



ぎゅううっと携帯を強く握った。
このまま、握り潰してしまいそうなぐらいに。


息が、出来ない。




あの日。

もっと。


聖と一緒にいたら。




メイクも何もしないで、私は急いで着替えてから家を飛び出した。



お兄ちゃんのバイクを許可を取らず、勝手に乗り込んだ。


怒られるなら、怒られてやる。
そんなん全部後だ。



……………聖!



どうして、自殺未遂なんて……。

どうして、どうして!



尚子と学は、聖が私に復讐の為だけに近付いたことを知らない。



だから、私を必死に呼んだんだ。


違う、違うよ。


今、聖が会いたいのは……。