やだな、私ったら。
気が動転しすぎて、間違えるなんて。


リダイヤルを見て、聖のメモを見比べる。

……だけど、間違えていない。


「…………どうしたの?」

私の様子を見ていた和が心配そうに声をかける。


「……………繋がらない」


「え?」


「……現在使われてないって…」


「……それ、聖に騙されたんじゃないの?」

聖に?
あんな、状態の聖が私を騙すだなんて思えない。


「聖はそんなことしない」


「……復讐したのは聖だよ?」


「…………」


そうだけど。
確かに、そうだけど。


「……残念だね」


「……うん」


「よしっ、甘いもん食べて笑うか!」


「……………」



無理矢理、明るく言う和を見て

「食べるっ」

私も苦しさを隠して笑った。



聖が騙したのかも。
伊織が携帯を変えたのかも。


私にはわかるわけなかった。




ただ、一つ。


分かってることは。




伊織に会えないこと。





ただ、それだけ。