カラオケの入り口に出たとこで私は力任せに聖の手を振りほどいた。


聖はびっくりした顔で私を見ている。
…本当に整った顔。

…って違う!


「あの、急に何!?」


「え?抜け出したかったし」


「私荷物置きっぱなしだし!」


「後で友達にもらえばいいじゃん」


「いや、そうゆう問題じゃなくて…」

私は一息つくと、話をしようと心に決めて口を開く。


「………私、好きな…」


「すとーっぷ!」


「………………」


言おうとしたことがわかったのか、聖の大きな声にかき消された。
それから聖は眉を情けなく下げると、独り言のように言った。


「望み、少し持たせてくれてもよくない?」


「……………」


「好きに、なるかもよ?」


「……ならない」


「なるよ」


はあ…。
どっからそんな自信が出るのだろうか。

私は大きく溜め息をついた。


「まあ、今すぐ振らなくてもさ、仲良くしよ」


「…………」

そう、言いながら聖は私の手を取った。


「ねぇ。泉?」


聖は私を見てニヤっと笑った。