トイレにずっといるわけにもいかない。
どうしようか。

そう、思った矢先携帯が鳴った。
尚子からのメール。


【いずちん、聖君タイプなの?
面食い~いずちんに会いたかった子って聖君らしいよ!
今日初めて会ったから、かなりのイケメンにびっくりしたけどー!】


ため息が自然とついて出た。
そんなメール…もらっても私にはどうすることも出来ない。


とりあえず、返事をしないでトイレを出よう。
部屋に戻ろうと、廊下を歩いていたら部屋の扉に聖が座り込んでいた。
ばっちし、聖と目が合う。

まずいと思うが、手遅れ。


「あっ」


私を見るなり、聖は立ち上がり近付く。


「いずちんっ」


「えっ!!?」

いずちんって…。
それ、まさか、尚子に聞いたの?!


「いずちんって可愛いあだ名っ!俺のこともひじちんって呼ばない?」


「…言いにくい」


「うん、確かに…。あっ、違くて。
いずちん」


真っ直ぐに私を見つめて

「どっか抜け出しちゃわない?」

そうやって、意地悪く笑うと私の腕を掴んで走りだした。


「えっ!?ちょっと!」

いきなりのことに意識が追い付かなかない。
だから、聖に文句も何も言えずにいた。