「俺は聖~!甘いモノ大好きなんだよね。よろしくね!」


…………聖?
薄暗い室内だから、その時思い出せなかったんだ。


いや、それだけじゃない。
あれから結構時も経っていたから。


彼が。

レンタル彼氏でSランクだってことに。

気付くのは、もっともっと後だった。


「……聖さん」

私がぼそっと呟くと、聖はにこっと笑って

「呼び捨てでいいよっ、泉っ」


そう、言った。

軽いと思ったけど、私はひっかかるその名前の正体を突き止めたくて聖に声をかける。


「………聖…。
聖は学生なの?」


「俺?俺はフリーター」


「フリーター?バイトかなんか?」


「ん?カラオケだよ。
ここも実は俺が働いてるの」


「そうなんだ」


どこで見たんだろう。
こんなカッコいい子、中々忘れなそうだけど。

いくら頭を捻っても、出そうになかったから私は諦めた。