深い水底から光を求めるように浮上する
もう少しで水面に届く
必死に腕を伸ばしたけど
いつまで経っても光は掴めない

すぅ…っと視界に光がさす
眩しい…と目を細める

あぁ…私、寝てたんだ

「起きたか?」

え?
私は起き上がってキョロキョロと周りを見渡す

すると、目の前に水の入ったグラスが突き出され
私はパッとその手の主の方を向いた

そこに立っていたのは龍真くんだった

「あ、ありがとう…」

私はグラスを受け取って
水を少しずつ口へ入れていく

「大丈夫か?」

龍真くんは少し私の顔を覗き込むようにしてそう言った

「……うん…。
心配してくれてありがとうね」

「大丈夫って顔してねぇだろ…
遙の奴どこ行ったんだ?」

「・・・帰ったのかも…」

私がそう言うと
龍真くんの眉がピクッと動いた気がした

何かまずいこと言っちゃったかな?
私はそう思い

「もう面会時間も終わりそうだし…!」

と、明るく言った

「そう…だな…」

龍真くんも時計を見ながら
少し納得いかなさそうだったけど頷いてくれた