不安定な状態だからこそ行くな
意味がわからない

「心が不安定ということは彼女の中で何かが変わり始めているということだ
悪い方へ行ってはダメだと思い話に行ったが
彼女は記憶を取り戻そうとしていた
トラウマに向き合おう…
そう決めたんだろうね
君は記憶を封じ込ませるために行くんじゃないのか?
違うかい?」

当たり前だ…
もうあんな辛そうな柚乃を見たくない

俺はこれ以上話していたくない…
そう思い

まだ何か言いたそうにしていた先生を残し
屋上を後にした

ドアを閉める時
先生が俺に向かい言った

「少しも辛くない未来なんてないんだよ
柚乃ちゃんの未来だ
柚乃ちゃんにき…」

バタン

まだ話している途中だったが
これ以上さっきの言葉を聞きたくなくて
俺は大きな音を立て扉を閉めた

辛くない未来なんてない
柚乃に…たぶん決めさせてあげて…とかかな?

俺はどうしていいかわからなくなっていた
心を晴らしてくれるものは何もなく
ただただ真っ黒い歪な塊が胸の奥底を支配していく
そんな気がした