「わかっただろ?
君には抜け落ちている記憶があって
思い出そうとすることで脳に負担がかかる
それを阻止するため脳が頭痛という名のブレーキをかけるんだ」

「でも、今回は…」

頭痛はなかった…
そう言おうとすると

「今回は思い出そうとしてないからじゃないのかって私は思うんだ
そもそも記憶というのは2つあるんだ
簡単に言うと脳の記憶と心の記憶
脳の記憶は消えやすく、自分の意思がなければ思い出せない
しかし、心の記憶は別だ
身体が覚えているものだからね
さっきは脳の記憶で自分の意思で思い出そうとしたから頭痛が起きた
だけど、今回君が倒れた時頭痛はなかった…」

「心の記憶…ですか?」

「恐らくね」

それ以上先生は何も語ろうとはしなかった

「今日はもう寝なさい。
ゆっくり身体を休めた方がいい」

そう言って先生は病室を出て行った