「記憶を…うし…なっ…た…?」

正直わけがわからなかった
だって私の中にちゃんと記憶はある

「どういうことですか
私にはちゃんと記憶があります!」

私は声を荒らげてそう言い放った

「じゃあ聞くが
倒れる前、中学校に通っている時だ
遙くん以外の男と全く話していなかったのか?」

遙以外…
初めての彼氏…斗方…そして慧介…
それ以外は…?

ズキッ…

えっと…クラスの男の子とか…

ズキッズキズキッ…

「・・・ぅ…」

頭が割れるように痛くなって
私はその場に頭を抱えるようにして
座り込んだ

「もう考えるな!」

先生が大声をあげた

私は言われたとおりに
(何でもない 何でもない)
そう唱えるようにして考えないようにした

先生は私の背中を優しく擦りながら
「大きく、ゆっくり、深呼吸をしなさい」
そう言ってくれる

スーハー、スーハー

私はゆっくりと深呼吸をする
すると、さっきまでの頭痛はなくなっていた