目が覚めた後、最初に目に入ったのは心配そうに私を見つめる遙の姿だった

「大丈夫か?」

「うん。
大丈夫」

そう言い私は周囲を見渡す
すると、ここは病院の一室のようだった
部屋は個室で私と遙以外は誰もいなかった

「龍真くんは?」

一瞬遙の顔に悲しみが映った気がした

「母さんと一緒に必要な物とか取りに行ってる」

「必要な物?」

「うん。入院の為のね…
いろいろ検査があるんだって」

また入院か…
入院は好きじゃない
私の体は何の異常もないのに
家に帰りたい

コンコン

「柚乃ちゃん、目が覚めたんだね
よかった…
かなり脳に負担をかけていたみたいだったから、心配していたんだよ」

そう言って私の担当の先生が入ってきた

「ごめんなさい…
ねぇ先生、すぐ帰れるよね?
前みたいに長くないよね?」

私は不安になって必死でそう問いかけた

「君は…遙くんだったかな?
柚乃ちゃんと2人きりで話がしたいんだ
悪いけど、少し席を外してもらえないかな?」

先生がそう言って遙は病室を出て行った