私達はそのまま学校を出て家路へと歩いた

私はずっと同じ距離を保ちつつ歩いていた
すると前を歩いていた龍真くんが不意に立ち止まり私の方に振り返った
私も足を止め龍真くんとの距離を保つ

「あのさ、なんかあった?
遙が一緒にいねぇとかありえねぇし
さっきから顔色すごく悪い...
まぁそれは俺がいるからかもしれないけど」

そう言うと龍真くんは
私の方へ近づいてきた

「な、な、なんでもないの!
ただ少し用事があったから先に帰ってもらっただけ」

龍真くんが近づいてきたこと
遙と一緒にいないことを疑問に思われたこと
顔色が悪いことに気づかれたこと
それらを知って私はとても焦っていた

龍真くんが私の前まで来る
私は下を向き俯いたまま顔を上げることが出来なかった

「無理すんな」

そう上から龍真くんの声が降ってきたと思ったら
頭をぽんぽんと軽く撫でられた

「あ、わりぃ...
そういや俺のこともダメだったんだよな...」

「あ、えっと...うん...。
でも、ありがとう」

私は焦りと迷いと困惑とで頭がいっぱいだった

龍真くんの言葉から
何かしら気づかれているのだとわかった
それはそれで焦った
だけど、一番焦ったのは
龍真くんの手を懐かしいと思っている自分がいたことだった

龍真くんは遙の従兄弟だから小さい頃に会っていたのかもしれない
だけど、懐かしいと思うなんて
やっぱり仲がよかったのかな?
けど、遙に触れられてもそんな気持ちにはならなかった
だからこそ私を困惑させた