「柚乃、俺を見て」

頭の上から言葉が降ってくる
私はフルフルと首を横にふる

少しの沈黙の後
「ハァ...」ため息が聞こえた

その時、昔の記憶がフラッシュバックしてきて
私は少し震えていたのかもしれない

「柚乃、そのままでいいから聞いて
昔、あんなことしてごめん
すぐ転校することになったから謝ることも出来なくて
ずっと後悔してた」

慧介の言葉が静かな図書室に響く
"ごめん" "後悔してた"
その言葉が私の頭の中でぐるぐると渦巻く

どうしたらいいんだろう
何か言った方がいいんだろうかっと考えていると
小さく鼻をすする音が聞こえた

え?っと思い
私は顔を上げ慧介の顔を見た

慧介は静かに涙を流していた