僕は夢を見ていたのかもしれない













とても長くて







すごく幸せな夢を













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あぁ、まただ



ふわふわしてとても温かい夢・・・





『お前がいるだけで皆が明るくなるんだ』



頭を撫でる大きな手





『俺はそんなに頼りないか?』



涙を拭う温かい指






『なぁ、どうかずっと笑っていてくれ』




切なそうに頬を触る手






『愛してる・・・ユズキ』





そう言う彼の名と姿を思い出せずにいる











「ん・・・」




目を覚ますともう放課後になっていた。



どうやら寝過ごしたらしい





でも久々に見たな・・・




あの夢を。




夢の彼は一体誰なんだろう

そう考えるだけで切りがない





「ハァ・・・よし、帰ろう!」




そう意気込み鞄を背負い教室を出た。





僕は夜野柚希と言います。








僕、夜野柚希はれっきとした女です



ただ一人称が僕、なだけ。




「お、オリオン座だー!」




冷たい冬の空を見上げるとうっすらとオリオン座が見えた



綺麗だな・・・



そんな時だった





「うわっ?!!」




氷っていた水溜まり足を滑らせ視界がぐにゃりと歪んだ





とっさに目を閉じて衝撃を待つ






ガツン!!





あまりにもの痛さに気を失う前に見えたのは





瞬く星の空だった。









夢のはじまり








「あれは・・・」




ポツリと呟き人が倒れている木の元へと向かう



近づくにつれはっきりと顔が見える





「男なのか」



女なのか。




だが今はそんなことはどうでもいい




髪の毛は短くふわふわしているし
異常に肌が白い



もしや長州では、と考えたが何となくコイツは違うと体が否定している




とりあえず怪しい奴だ

事情を聞かねばと思い屯所に運ぶため男を担ぐように持ち上げた



「・・・軽すぎる」



本当に男なのかと疑うぐらい
なら、女なのかもしれんな・・・




性別も曖昧な奴を担ぎその場を去る男は






斎藤一と言う