「確かに、好きな女の為、自分の為を想うなら、

将来は大事なのはわかる・・・でもな?

今が一番大事な時なんじゃないのか?

ずっと無理してたら、いつかは力尽きちまう・・・

美穂の気持ちも、どっか遠くに行くぞ?

そんな事考えたことあるか?」


「・・・」

ある。・・・なんて言えなかった。

実際には、今現在の事は半分も考えていなかった。

互いに好きならそれでいい。

その気持ちがあれば十分だと思ってた。

でも、全然違ってた。

美穂の気持ちも、美穂の体も、極限状態まで追い込んでいたのは、

この俺自身。

美穂に謝っても謝りきれない。


「美穂の事、大事に出来ないなら、オレが奪うから」

そう言った誠は、その場を去っていった。

…オレは黙ったまま、しばらくその場から動けないでいた。



…ガチャ。

それからどれくらい経ったのか?

美穂が心配そうな顔で、ドアからオレを見つめていた。

「篠田部長・・?」

オレは、優しく微笑み、美穂を病室に戻した。